「ブルーナ絵本展」松屋銀座で開幕
イベント情報心配なお天気が続きますが、みなさんお変わりなくお過ごしでしょうか。
今日は、8月15日に松屋銀座で開幕した「ブルーナ絵本展」のことを、お話させてくださいね。
ブルーナさんの絵本が生まれて70周年を迎えるのを記念した「ブルーナ絵本展」が
現在、東京・松屋銀座で開催されています。
ブルーナ絵本展
dick bruna: zijn werken voor prentenboeken
会期 2023年8月15日(火)~8月30日(水)※最終日は午後5時閉場
会場 松屋銀座 8階イベントスクエア(東京都中央区銀座3-6-1)
※混雑の際は、お待ちいただく場合や整理券を配布する場合があります。
入場方法などの詳細は下記展覧会公式サイトをご覧ください。
ブルーナ絵本展公式サイト https://bruna2023.exhibit.jp/
ブルーナさんが初めての絵本『de appel(りんごぼうや)』を発表したのが、今からちょうど70年前の1953年のこと。
それから約60年にわたり、アトリエでひとり創作を続けたブルーナさん。
2017年2月、その生涯をとじるまでに、120冊を超える絵本を創作しました。
会場入ってすぐ、この120冊を一望することができます。
およそ120冊。改めて、すごいボリュームです。
みなさんじっと足をとめて「あ、この絵本持ってた!」「なつかしい~」とご覧になっています。
みなさんの笑顔に、私も幸せな気持ちになりました。
そして、この壁の前に立ちますと、ミッフィー以外の絵本がけっこう多いぞ、ということにお気づきになるでしょうか。
約120冊のなかで、ミッフィーのシリーズは30冊あまり。
残りの約3/4は、ミッフィー以外の絵本ということになります。
これまでなかなかご紹介する機会のなかった、ボリスやポピー、スナッフィー、おとぎばなしシリーズなどの原画を、たっぷりとじっくりとご覧いただけるのが、今回の展覧会の大きな見どころと言えるでしょう。
私たちも初めて見る原画がたくさんあって、改めてその魅力のとりこになってしまいました。
きっと今まで知らなかった、ブルーナ絵本の魅力を発見していただけると思います。
「今日よりももっといいものを」と約60年にわたり描き続けたブルーナさん。
「もっといいもの」を追い求めたブルーナさんの情熱を、たくさんの原画やスケッチから感じていただけると思います。
ついつい、お話しし過ぎてしまいそうですが、詳しくは会場でご覧いただくとして。
ひとつだけ、ぜひ原画でご覧いただきたいポイントを。
それは、ブルーナさんの描く、線。
黒くはっきりとしたラインは、サインペンでサラリと描いているの?とも思われがちなのですが、そうではなく。
ブルーナさんは細い筆で、点と点をつなぐようにゆっくりゆっくりと線を描いていました。
(ブルーナさんの線を描く様子は、会場の動画でもご覧くださいね)
そのため、線をよく見るとわずかに「ふるえ」があります。
この「ふるえ」については、ブルーナさんは、
「ぼくの心臓の鼓動とか、息づかいとか、そのときの気持ちがこのラインに伝わって人間味を与えている」
と語っていました。
手描きのラインからにじみ出るような、ブルーナさんの息づかいや思いを、
ぜひ、原画から感じていただけたらと思います。
さてさて。
開幕の前日、8月14日に行われたオープニングイベントには、
菅井友香さんが登場、展覧会をご覧になりました。
ボリスをぎゅっと抱っこしてね。
幼い頃『まる、しかく、さんかく』や『きいろいことり』『じのないえほん』など、ブルーナさんの絵本を読み聞かせしてもらっていたそう。
幼稚園の頃には、ミッフィーのお皿で朝ご飯を食べ、ミッフィーのタオルを持ち歩いていたそうです。
展覧会をご覧になって「あたたかい思い出がよみがえります」と、にっこり。
菅井さんのお話を聞いて、ブルーナさんのこんな言葉を思い起こしました。
「人が生涯もって歩くことになる、幼いころの心のぬくもり。
このあたたかさの記憶づくりに、ぼくの作品が役立っているのだとしたら、
これは、どんなに大きな勲章よりもすばらしいことだと感じています。」
あたたかい気持ちでいっぱいになった帰りみちは、足どりも軽く。
銀座の空へ、ふわりと飛べそうです。
松屋銀座での開催は、8月30日(水)まで。
ぜひ、会場へお越しくださいね。
アイ
*ブルーナさんの言葉は『ミッフィーからの贈り物 ブルーナさんがはじめて語る人生と作品のひみつ』(講談社文庫)より