りんごのおはなし
絵本こんにちは。
きょうは、ブルーナえほんから、こちらの一冊を手にとります。
「りんごぼうや」です。
にっこり顔のりんごがひとつ。さぁここに、どんなおはなしがはいっているのでしょう。
それでは、本のページをめくります。
おやおや、どうしたことでしょう。はじまりは、
りんごぼうやが泣いていました。
いまにも大粒の涙がこぼれ落ちそうです。
虫のように、足も羽もない。あるのは葉っぱと軸だけ。
どこへも行けないと、泣いているのでした。
塔の上から見ていた風見鶏のおんどりが、
"こんやみんながねむったらすぐに むかえにきてあげよう。"
と、りんごぼうやに約束しました。
さぁ、いよいよ夜となって、ふたりの冒険がはじまります。
おんどりは、夜の空をうえからしたへ自由に飛びます。
りんごぼうやはおんどりの背中に乗って、
綺麗な色をしたちょうちょが、はじめて目の前を飛ぶのを見ます。
それから、見たことのなかったひとの住む家の中に、
お皿に載ったぶどうやテーブルの上に並んでいるものを見つけます。
でも、そろそろ戻らないといけない時間。
それから、朝を迎えてお話しはおわります。
気が付けば、ことばのリズムに乗って、夜の空を一緒に飛んでいる気分になっていました。
さいごは"とっても、おもしろかったよ!"って、りんごぼうやとおなじように胸がいっぱいに。
晴れ渡ったきもちが朝を迎えて、声もひとまわり大きくなるのです。
かなしい気持ちが、あっと言う間に晴れてゆくすてきなお話。
この本がだいすきというかた、きっとたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
わたしもお気に入りの一冊です。
あのおんどりさん、きょうもいつもの塔のうえ。
だけれど、みんなはもう知っていますよね。
あそこにいるのは、なかよしのおともだちだってこと。
なんだかそれが、嬉しくて。
ブルーナさんが最初につくった絵本は、「de appel 」でした。
それから、ことしでちょうど60年が経ちました。
「りんごぼうや」は、その絵本をもとに作られたものです。
いつもお話の最後にはあたたかい場所にたどりつくブルーナ絵本、はじまりの1冊です。
*「りんごぼうや」は、2012年 福音館書店より新訳にて出版されました。
みみよりブログ https://www.dickbruna.jp/blog/201204/1221.html
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